大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)4109号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人林達也の上告趣意は単なる法令違反の主張であって刑訴四〇五条の上告の理由にあたらない。

弁護人宇野要三郎の上告趣意第一、二点も単なる法令違反の主張であって適法な上告理由とならない。(第一審判決挙示の証拠によると、被告人等は、予算上の一切の拘束をはなれて、交際費や接待費をふくむどんな用途にでも、まったく被告人等の意のままに支配費消しうる違法な資金のプールを作る意図で、同判決摘示のような手段により常時大規模に予算の現金化を行ったものであって、単なる財政法規違反としての予算の流用ないしは公金の移管の域にとどまるものとみることはできないから、本件につき詐欺罪の成立を否定することはできない。)また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例